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プロジェクト学習で「調べる」ことの意味を考える

「何が分からないか」を分かることの重要性

1年生向けのPBLとして「フューチャー・スキル実践」を担当していますが先日、最終発表を終えました。受講生のみなさん、SAのみなさん、クライアントのみなさま、授業運営にご協力いただき感謝いたします。

「フューチャー・スキル実践」は企業から課題を提示いただき学生がその企業の社員として考え、提案するというものです。前半は昨年度に引き続きエテュセさまにから提示されたのは化粧品をロングセラーにするための施策を考えるBtoC的な課題でした。

後半2社目のクライアントはBtoB的な色合いが強い課題になっています。今年度のクライアントである岡村製作所さまからの課題は「ワークスタイル/プレイスの課題を抽出した上でリサーチプランを提案する」というものでした。

学生たちを見ているとこの課題に対してなかなか苦戦していました。この課題が1年生にとって難しかったかなぁと同時に個人的に興味深いなと思ったのは「何が分からない=リサーチしたい」のか、をリサーチして抽出するという構造になっているところです。フリーアドレスや育休、職場のコミュニケーションなどの課題をどういった企業や地域がどのように解決しようとしているのか?を調べるのですが、そこで全部分かってしまうと自分たちが調査する意味がなくなります。

つまり、

◉ 何が課題・問題なのか?分からないのか?を調べた上で設定する

◉ 設定した課題・問題を解くために調べる

の2つがあるということをなかなか実感として持てないのかなと思いました。調べるのはいいんだけど何のために調べるのか?をメンバーが意識することが重要かなと思います。

これは今回の課題に限らず、プロジェクト学習などでも一つのキモになる部分だなと思います。パッと思いついたり明らかな課題・問題からスタートするのではなく、何が言われているか?分かっているか?を調査した上で課題・問題を自分たちで設定する。一見遠回りに見える作業かもしれませんが、そこがいわゆる「筋の良い」課題・問題設定になり、面白い提案につながっていくのだと思います。

研究していると先行研究の整理して自分の論文・論考の問いを設定していく=何が課題・問題なのか?を設定するのはいわば当たり前のプロセスです。逆に言うと、研究をしっかりすることは実社会から離れているのではなく、実は非常に重要な思考の様式を学んでいるのだと思ってもらえればと。