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経験を語る「言葉」を持つことの大事さ

PBLのリフレクションで感じたこと
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「実践プロジェクト」の最終発表で福岡に来ています。

 

7月後半は「webコミュニケーション」「実践プロジェクト」「フューチャースキル実践」とPBLの最終発表とリフレクションでバタバタでした。リフレクションというと「非常に充実していい経験になりました」という感想が多く、それは満足度という意味ではありがたいのですが、もう一段、上げていきたいなと思っています。

 

PBLやリフレクションにおいては、コルブの経験学習が引き合いに出されることは多いです。すなわち、「経験(Concrete Experience)→省察(Reflective Observation)→概念化(Abstract Conceptualization)→実践(Active Experimentation)」というサイクルです。先ほどの「充実したいい経験になりました!」系の感想は「概念化」というところで引っかかることが多い印象です。インタラクティブに会話していると、言いたいことは伝わるのですが、それを表現する「言語」がなくもどかしい思いをしているのかなと。

 

「経験↔︎省察」で閉じてしまうと省察というより反省になり、「今度は反省を活かします!」となり、何か条件反射的になっているなぁと思います。この「いい経験になりました!反省を今度に活かします!」の閉じた回路に名前をつけたいくらいです

 

やはりリフレクションなので自分の経験は一体何だったのか、何を見出すのか、にじっくり向き合って欲しいと思いますし、せっかくの経験を「概念化」まで踏み込んで考えたいところです。

 

なぜ概念化が苦手なのか、を考えると一つに経験をネーミングするための概念、フレーム、理論などの「言語」が足りていないからなのかもと思います。PBL全盛ですが、経験を概念化・抽象化するために「言語」を持つためには講義型などで枠組みや理論を身につけることも翻って重要になると思っています。「重要です」と教員がいうだけではなく、PBLでリフレクションをきちんと入れていく、講義の中でそれぞれの経験と紐つけて考える時間を入れていくというようにそれぞれが取り組むことが必要かもしれません。

 

自分の首を絞めることを承知でいえば、個人にお任せというよりも、カリキュラム自体にこうしたサイクルが埋め込まれて、何をするのかが明示されているようになれば改善されるのかも知れません。(そうした配慮自体が学生の主体性を奪っているのだというツッコミもあるかも知れませんが)少なくともガイダンスなどでもLearning Mapをそれぞれが持つという仕組みは必要なのかなと思いました。