ふと目にした、「フレームワークはクリエイティビティーを邪魔するか?」という記事で『明日のプランニング』などの著者・佐藤尚之さんはフレームワークの重要性を説いています。
この話自体は「守・破・離」という言葉でも聞いたことがあるかと思います。なるほどなぁと思ったのは、①アイデアを出す際にもぼんやり考えるのではなく、フレームワークを使う、つまり可視化・構造化されているアプローチがあるということ、②そのフレームワークをアップデートし続けることが重要(自分なりに解釈すれば、「破・離」とはフレームワークのアップデートに他ならない)、ということです。
演習やゼミでもコミュンケーションや経験のデザインに関するプロジェクトを進めています。そこでは企業や組織のみなさまの協力もあり、学生たちも頑張って進めていますし、いろいろな経験を積まさせていただいています。しかし、学生たちを見ていて、①とにかく頑張ろってアイデアを出そう、②とにかく作業に徹し頑張る、という「頑張り」に落としこむことである種、「頑張ることの快楽」(悪く言えば、思考停止)に浸っているケースもあります。
こうした「自作自演のやりがい搾取」の結果としての「プロジェクト疲れ」「それって学びになっているの?問題」はアクティブラーニング、PBLなどが拡大していく大学業界(中高でも?)でこれから増加し、課題になっていくのではと思います。
「その場・その瞬間・そのプロジェクト」という個別性を大事にしつつも、フレームワークを用いて考える・進めることもして欲しいなと思います。また、それを「専門」として勉強・研究しているのであれば、そうした経験から切り口やアプローチなどフレーム化することを目指して欲しいと思います。
個々の事象や経験の可視化・構造化する(試みる)ことと、そうしてできたフレームワークの個別の状況への適用することを往復し、アップデートし続けること。これはプロジェクトだけではなく、研究もそうですね。
近年ではとかく大学での学問が「社会に出て役に立つ・役に立たない」議論がありますが、学問分野やテーマが役に立つ・立たない、というよりも、それを研究することを通して、まさしくそうした「型」を身につけ、自分が直面するシチュエーションに応用できるかが重要なのかなと思います。