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コワーキングスペース紀行

Bespoke

1週間ほどアメリカへ調査のための出張しておりました。特にサンフランシスコではBespoke, Impact Hub, DhausなどSOMAエリアのコワーキングスペースを中心にお話を伺ったり、見学・観察をして回ってきました。特にサンフランシスコではスタートアップが過熱気味になるほど集中している都市ということで、その熱気も感じることができました。

旅のお供はE. レルフの『場所の現象学』(ちくま学芸文庫)でした。これまで何度か読んでいるのですが、「場所性」と「没場所性」、「場所感(センス)」「場所とアイデンティティ」など改めてニューヨークやサンフランシスコといった都市自身、また今回のフィールドであるコワーキング・スペースを考える際にキーワードになる言葉を発掘しつつ改めて読み返しました。
例えば、場所のアイデンティティを考える際に、カミュ、メルロ=ポンティを引きながら、物質的要素、人間の活動、意味の3者がどのような仕方で常に相互作用しているのか、を見ることの重要性が語られます。コワーキングスペースと(全部とは言いませんが)オフィスを比べた時にファシリティそのもの(=物質的要素)はあまり変わらなかったりします。そこで行われている人間の活動はどうなんだろう。「仕事」をするという意味では一緒かもなぁ、でもコワーキングスペースはコラボレーションやコミュニティの要素が強かったりするけど最近ではオフィスもそうしようとしている。ではそこで仕事をしている人たちにとってその場所の意味は?etc…他にもいろいろ書きたいこともありますがそれはまた。
出版されて40年近く経っている今でも、あるいは今だからこそまた新たに考える糧になるというのが古典の醍醐味かもしれません。
オフィスやコワーキングスペースなどの空間とメディアとの関連をフィールドとする研究の「旅」を始めて3年目になり、半ばまで来たかなという感じを最近ようやく持てるようになりました。が、実はまだまだ行ってみたいところがあります。そうした「旅」を続けつつ、徐々に原稿などの形にしていければと思っています(というかそれが仕事ですね…頑張ります)。
見学・観察させていただいた、お話いただいた方々、Thanks givingの忙しい中、時間をとっていただきありがとうございました。